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【解説】(お金を)使わないのに稼げば、放っておいても裕福になる。by 小室直樹

「(お金を)使わないのに稼げば、放っておいても裕福になる。」という主張は、一見すると当たり前のように聞こえます。「食べずに運動すれば痩せる」というぐらい明快で隙のない論理に聞こえます。

そう。「お金を使わないのに稼げば、放っておいても裕福になる。」のです。この隙のない理屈には、誰もが納得すると思いますが、ほとんどの人は「それは不可能だ」とも感じるでしょう。

事実、食べずに運動すれば痩せることができるのに、ダイエットに挑戦する人のほとんどは「サプリメント」に頼ったり、脂肪を吸引するなどして、どうにか楽して体重を落とそうとします。

同様に、裕福になれない人のほとんどは稼いだお金を使ってしまいます。稼いだお金を使ってしまう習性をなんとかしないまま、お金を稼ごうとするのです。結果はどうなるかというと、、、、、仮に収入アップを実現したとしても、稼いだ分のお金を使ってしまうので裕福にはなれないのです。

どうすれば「稼いだお金を使わない」ことができるのでしょうか?

稼いだお金を使わない

在野の天才といわれた小室直樹先生は、「稼いだお金を使わない」という難しいことを乗り越える一つの方法として、『宗教的な信仰心』があることを教えてくれます。

MEMO

戦後第一世代のフルブライト留学生(学費全額免除)としてアメリカに渡り、ミシガン大学大学院で計量経済学、ハーバード大学大学院で心理学と社会学、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院で理論経済学を学ぶ。(マサチューセッツ工科大学では第2回ノーベル経済学賞を受賞したポール・サミュエルソンに学ぶ)

日本に帰国後は、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程を修了。(東京大学法学博士)。1980年に発表した「ソビエト帝国の崩壊」において、ソ連崩壊を10年以上も前に的確に予言したことは有名。

「在野(権力の立場からものを言わない)の天才」として、一般向けの著書多数。

実は歴史上、はじめてお金があり働く必要がないにも関わらず、一心不乱に狂ったように働いたのは、キリスト教プロテスタントの人たちなのです。そうした人たちの考え方や行動が、近代資本主義の土台になりました。

近代資本主義が誕生する前までは、いったん大金持ちになると働かなくなるのが普通でした。日本の紀伊國屋文左衛門(木材取引で巨万の富を築いた)も、船乗りシンドバッドもそうです。

なぜ?キリスト教プロテスタントの人たちは、狂ったように働いたのでしょうか?

その理由はズバリ、「祈り、かつ働け」というのがキリスト教の教えであり、働くことが救済につながるとされていたからです。しかもキリスト教の本来の教え(予定説)によれば、「救済されているかどうかは、人間には知りえない」こととされていたので、どれだけ一心不乱に働いても、救済されるかどうかは最後の審判まではわからないこととされていました。

もしあなたがどれだけ頑張って働こうが祈ろうが、あなたを救うか救わないか決めるのは神だけであり、最後の審判まで救われるかどうかわからない・・・という状況に置かれたらどうなるでしょうか?

キリスト教を信仰するかぎり、「狂ったように働く」のが答えになるはずです。受験勉強は数年で終わりますが、最後の審判は死んでからでないと結果がでません。そのため死ぬまで「多少頑張ったぐらいでは救われないのではないか?」と不安になり、一生終わらない受験勉強に命を捧げるようになるのです。

しかも宗教革命のリーダーだったカルヴァンの思想は、「カネをもつと人間はますます堕落する」であり、「たとえ酒を飲んでも酔っぱらってはいけない」というほど徹底していましたから、プロテスタント信者は、狂ったように働いて稼いだお金を贅沢につかうことができませんでした。

その結果は興味深いものでした。もともとカルヴァンの目的は、信者からお金を集めて腐敗したカトリックを打破して、キリスト教を本来に姿に戻すことだったわけですが、結果的にカルヴァンの思想に忠実に従った信者ほどお金持ちになってしまったのです。

キリスト教プロテスタント信者は、信仰の力で「狂ったように働きつつ倹約する」という誰にとっても難しいはずのことを実現したのでした。もしあなたがプロテスタントと同様の成果を得たいのであれば、参考になるエピソードだったのではないでしょうか?